動画
解説
『ギルガメシュ叙事詩』で、ギルガメシュとエンキドゥがウルクを発って目指す「杉の森」。番人フンババが守るこの森を、粘土板の本文をもとにした自作の3DCGでたどります。七つの山並みを越える道のり、森の入り口と「杉の山」、甘い木陰と雨のように滴る樹脂、鳥と虫と猿の合奏、2011年にイラクのスレイマニヤ博物館が入手した新しい破片、フンババの七つの光、森は東の山か西の山かという問い、杉の扉、そしていまのレバノンの「神の杉の森」まで。
このツアーは、物語の中の場所を訪ねる「物語と仮想の層」の作品です。物語の中のことと、現実の世界のことで、別の印を使っています。
- 原文にそう書いてある:粘土板の本文(標準版・古バビロニア版・シュメール語の詩)にある記述。出来事が史実かどうかを示すものではありません
- 解釈:欠けた所の補いや訳が分かれるもの、後世のあてはめ
- 描かれていない:本文にないもの。画面では模式で示しています
現実の世界のこと(粘土板、発見、いまの森)には、確か/説・推定/わかっていない の印を使っています。
物語はこのあと戦いと伐採へ進みますが、このツアーでは戦いを描きません。フンババは七つの光の模式だけで、二人は小さな影だけで示しています。日本語の文は、論文の英訳・ETCSL・トンプソン訳(1928年)を見比べた言い換えです。フンババの森が実在の森を写したものかは、わかっていません。内容は2026年11月時点の資料にもとづきます。
主な出典
electronic Babylonian Library(ミュンヘン大学)「ギルガメシュ叙事詩」標準版(A. R. ジョージの校訂)
F. N. H. Al-Rawi・A. R. George「Back to the Cedar Forest」Journal of Cuneiform Studies 66(2014年)
ETCSL(オックスフォード大学)「ギルガメシュとフワワ」A版・B版 英訳
R. キャンベル・トンプソン英訳『The Epic of Gilgamish』(1928年、パブリックドメイン)
ユネスコ世界遺産センター「カディーシャ渓谷と神の杉の森」(No.850)
大英博物館、ブリタニカ百科事典、Live Science(2015年)、Wikipedia(補助)
制作
映像・模式図はすべて自作です(写真・ロゴ・音楽は使用していません)。AI を使って制作しています。
ナレーション:VOICEVOX:冥鳴ひまり(テロップの文を読み上げています)
場面(11場面)
- 出発ウルクを発つ
- 七つの山並み山を越えて杉へ
- 森の入り口杉の高さを見上げる
- 杉の山神々の住まい
- 木陰と樹脂甘い木陰、雨のような樹脂
- 森の音鳥と虫と猿の合奏
- 新しい破片2011年の発見
- 七つの光フンババの輝き
- 森はどこに東の山か、西の山か
- 杉の扉川をくだる扉
- いまの森神の杉の森
事実と創作の区別
物語の中のことは「原文にそう書いてある/解釈/描かれていない」、粘土板・発見・いまの森など現実のことは「確か/説・推定/わかっていない」で示します。物語はこのあと戦いと伐採へ進みますが、戦いは描かず、この作品集では森と光だけで見せます。現代の訳は引用せず、論文の英訳・ETCSL・トンプソン訳(1928年)を見比べて言い換えました。森・粘土板・地図は自作の模式です。
出典
- S1electronic Babylonian Library(eBL、ミュンヘン大学)コーパス「ギルガメシュ叙事詩」標準版(A. R. ジョージの校訂による本文と英訳)
- S2F. N. H. Al-Rawi & A. R. George「Back to the Cedar Forest: The Beginning and End of Tablet V of the Standard Babylonian Epic of Gilgameš」Journal of Cuneiform Studies 66(2014)69〜90ページ(SOAS リポジトリ)
- S3ETCSL(オックスフォード大学・シュメール文学電子テキスト集成)「ギルガメシュとフワワ」A版 英訳(c.1.8.1.5)
- S4ETCSL「ギルガメシュとフワワ」B版 英訳(c.1.8.1.5.1)
- S5R. キャンベル・トンプソン英訳『The Epic of Gilgamish』(1928年、パブリックドメイン)第5の書板
- S6M. G. コヴァックス英訳『The Epic of Gilgamesh』(スタンフォード大学出版、1989年)第5の書板の句(Wikipedia「Mount Hermon」での引用による・補助)
- S7A. R. George「The Day the Earth Divided: A Geological Aetiology in the Babylonian Gilgameš Epic」(第34回国際アッシリア学会議〔1987年〕の論文集、1998年、179〜183ページ)書誌。本文は未確認で、題名のみを手がかりにした
- S8D. E. Fleming & S. J. Milstein『The Buried Foundation of the Gilgamesh Epic: The Akkadian Huwawa Narrative』(Brill、2010年)9・29〜30・56〜57ページ(Wikipedia「Humbaba」の引用による)と S. C. Jones の書評(Journal of Hebrew Scriptures 11、2011年。書評は本の主張の要約で、地名の記述はない)
- S9S. N. Kramer「Gilgamesh and the Land of the Living」Journal of Cuneiform Studies 1(1947年)3〜46ページ 書誌
- S10A. Shaffer「Gilgamesh, the Cedar Forest and Mesopotamian History」Journal of the American Oriental Society 103(1983年)307〜313ページ 書誌
- S11ユネスコ世界遺産センター「Ouadi Qadisha (the Holy Valley) and the Forest of the Cedars of God (Horsh Arz el-Rab)」(No. 850、1998年登録)
- S12大英博物館 コレクション「The Flood Tablet」K.3375(アッシュルバニパルの図書館、前7世紀)
- S13ブリタニカ百科事典「Epic of Gilgamesh」
- S14ブリタニカ百科事典「cedar of Lebanon」
- S15Live Science「Lost ‘Epic of Gilgamesh’ Verse Depicts Cacophonous Abode of Gods」(2015年10月2日)
- S16ユネスコ世界遺産センター「The Ahwar of Southern Iraq」(ウルクの遺跡を含む、2016年登録)
- S17Wikipedia "Humbaba"(補助)
- S18Wikipedia "Cedar Forest"(補助)
- S19Wikipedia "Cedars of God"(補助)
- S20Wikipedia "Epic of Gilgamesh"(補助)
- S21時空ツアー「ウルク・ガイドツアー」(同じシリーズの別作品)