時空ツアー 60 · 物語と仮想の層 · 物語の部屋 · 事実の表
杉の森 事実の表
『ギルガメシュ叙事詩』で、ギルガメシュとエンキドゥがウルクから旅をして行き着く「杉の森」の調査台帳です。神々の住まいとされ、フンババ(シュメール語ではフワワ)が守る森について、粘土板に書いてあること、読み方が分かれること、いまのレバノン杉の森の事実を分け、それぞれに印と出典を付けています。
層 物語と仮想の層 部屋 物語の部屋 本文 標準版 第5の書板ほか、シュメール語の詩「ギルガメシュとフワワ」 年表の目安 前1200年ごろ(標準版がまとめられた時期とする説。シュメール語の詩は前2100年ごろ) 座標 34.243°N 36.049°E(後世の解釈の一つ) 更新 2026-10-23
物語の中のことを示す印
原文にそう書いてある 粘土板の本文(標準版・古バビロニア版・シュメール語の詩)に書かれていること。物語として書かれている、という意味で、史実かどうかを判断する印ではありません。
解釈 欠けた所の補い方や訳が分かれるもの、後世の人が場所や意味をあてはめたもの。
描かれていない 本文に書かれていないもの。画面ではこの部分を模式で示します。
現実の世界のことを示す印
確か 粘土板そのもの、発見と発表、いまの森や世界遺産など、記録で確かめられること。
説・推定 成立の年代など、研究者の見方として示すもの。
わかっていない 手がかりがなく、答えが出ていないもの。
事実の表
テロップ台本
粘土板の記述といまの森
出典
制作記録
すべて
原文にそう書いてある
解釈
描かれていない
確か
説・推定
わかっていない
本文は、アル=ラーウィーとジョージの論文(2014年)の英訳、ETCSL のシュメール語の詩の英訳、パブリックドメインのトンプソン英訳(1928年)を見比べ、日本語は自分の言葉で短く言い換えています。A. R. ジョージの英訳(ペンギン版1999年、オックスフォード大学出版2003年)や、月本昭男訳などの現代の日本語訳は著作権があるため引用していません。「原文にそう書いてある」は物語の中の記述であることを示す印で、出来事の史実性を判断するものではありません。物語はこのあと戦いと伐採へ進みますが、このツアーでは戦いを描きません。フンババは光の模式だけで、ギルガメシュとエンキドゥは小さな影だけで示します。ゲームやアニメの絵や人物は使っていません。
ナレーションなし・テロップのみ。1場面12〜15秒、全11場面で約2分30秒の試作版です。切替で「粘土板の記述」と「いまのレバノン杉の森」を選ぶと、景色とテロップが変わります。「新しい破片」は粘土板の模式で、「森はどこに」は自作の模式の地図で、「いまの森」はいまの森の模式で見せます。
粘土板の記述 標準版 第5の書板と、古い詩 · 書いてあることを中心に
森の入り口に立ち、杉の高さと道を見つめる原文にそう書いてある
杉の山は、神々の住まい、女神たちの玉座の台原文にそう書いてある
甘い木陰、雨のように滴る樹脂、分け入れない茂み原文にそう書いてある
鳥・木の上の虫・ハト・猿の声が、毎日フンババの前で鳴り響く原文にそう書いてある
フンババの七つの光(輝き)原文にそう書いてある
森が東の山か西の山か解釈
山の形や高さ描かれていない
いまのレバノン杉の森 レバノン北部 · 神の杉の森(ホルシュ・アルズ・エル=ラブ)
マクメル山の標高約1,900〜2,050mに残る林確か
1998年、カディーシャ渓谷とともに世界遺産確か
ユネスコは古代の森の最後の名残と記す確か
レバノン杉(Cedrus libani)は国旗に描かれる確か
1876年に石垣で囲まれたとされる説・推定
物語の森をここに重ねること解釈
ツアーでは同じ場面のまま、この2つを切り替えて見比べられます。「粘土板の記述」では書いてあることを自作の模式の森で、「いまのレバノン杉の森」では、いまの森と地図を自作の模式で示します。どちらも写真は使っていません。物語の森が実在の森かどうかについては、どの説にも肩入れしません。ウルクの街そのものは、同じシリーズの「ウルク・ガイドツアー」で扱っています。
2026-10-23
事実の確認(別の確認者):52項目と全テロップを、アル=ラーウィーとジョージ(2014年)の論文本文、ETCSL のA版・B版、ユネスコ No.850、大英博物館 K.3375、ブリタニカ、Wikipedia「Humbaba」(フレミングとミルスタイン2010年の引用)で照合。eBL は画面・API とも開けず未確認。直した点:扉はエンキドゥが「作るよう言う」、川はユーフラテス川、悔いの言葉は扉より前(303行と316行)。森の虫は論文では tree-cricket のため「木の上の虫」に。「ヘルモンとレバノンが裂けた」の句は行番号を確かめられず、谷の由来話という読みは論文の題だけが根拠だったため、山並みの成り立ちを語る話とみる「解釈」に弱め、イシュチャリ断片(フレミングとミルスタイン57ページ)を添えた。古バビロニアの地名は書評に記述がなく、出典を Wikipedia 経由のフレミングとミルスタイン29〜30ページに改めた。根拠のなかった「杉の香は貴重品」の推定は外した。終わりの字幕の「四千年あまり前から」は、森の音の描写が新バビロニアの写本にしかないため「古くから」に改めた。
2026-10-23
試作:3DCGのツアーを作成(ガイド/自由に歩く、「粘土板の記述」と「いまのレバノン杉の森」の切替、6種類の印、出典、録画モード)。フンババは七つの光の輪、二人は小さな影だけにし、戦いは描かない。粘土板・地図・森はすべて自作の模式。
2026-10-23
台本:全11場面。前半と「七つの光」「杉の扉」は2つの表示それぞれのテロップを用意し、「新しい破片」は粘土板の模式、「森はどこに」は地図、「いまの森」はいまの森で見せる。
2026-10-23
調査:アル=ラーウィーとジョージ(2014年)の論文本文で、第5の書板のはじめ(森の描写)と終わり(扉と筏、エンキドゥの悔い)、破片の番号・寸法・入手年を確認。ETCSL でシュメール語の詩のA版・B版、ユネスコ No.850 でいまの森を確認。依頼文の「旅は第5の書板」は、旅が第3〜4、森の場面が第5の書板と整理した。標準版の「ヘルモンとレバノン」の句はコヴァックス訳の引用(補助)とジョージ1998年の論文題で裏づけ、句の行番号までは確かめられなかった。
2026-10-23
著作権:ジョージ訳と現代の日本語訳は引用せず、論文の英訳・ETCSL・トンプソン訳(1928年、訳者は1941年没)を見比べて言い換えた。2014年の論文は出典として要約し、短い語句だけを用いた。
2026-10-23
企画の芯:物語と仮想の層・物語の部屋。粘土板に書いてあること/解釈/書かれていないことを印で分ける。座標は物語の森の場所ではなく、解釈の一つとして神の杉の森(北緯34.243度、東経36.049度)を示す。