時空ツアー 48 · 共有地の層 · 南極・深海・宇宙 · 事実の表
トリエステ号 事実の表
1960年1月23日、ガソリンの浮きに鋼の球を吊ったバチスカーフ「トリエステ号」が、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵の底に着きました。その潜航と、2012年以降に続いた潜航、そして深い海をだれが治めるのかという海のルールをたどるツアーの調査台帳です。各項目に確かさの印と出典を付けました。
層 共有地の層部屋 南極・深海・宇宙場所 マリアナ海溝・チャレンジャー海淵(北緯11.33度・東経142.20度あたり=西の窪み)年表の目安 トリエステ号 1960年更新 2026-10-23
確かさの印(共有地の層)
過去と現在のことは「確か」、これからのことは公表の度合いで分けます。食い違う記録は、だれが何と言っているかを書き分けて「確か」にしています。
- 確か
- すでに起きたこと、いまの状態。米海軍・NOAA・JAMSTEC・国連・国際海底機構の公開資料や、査読つきの論文で確かめられること。
- 計画(公表済み)
- 国際機関などが案を公表し、進めている予定(深海底の採掘の規則の案など)。中身や時期は変わることがあります。
- 構想
- 将来の案や目標で、予算や時期が決まっていないもの。この作品では使っていません。
- 想像
- 資料に残っていない部分を、このツアーが描いたもの。画面では模式として示します。
日付と数字は、米海軍(歴史遺産司令部・海軍研究局)、NOAA、スミソニアン協会、JAMSTEC、国連海洋法課、国際海底機構の公開資料と、査読つきの論文で確かめました(2026年10月23日時点)。1960年の深さは、深さ計の表示(約11,521m)、発表(約10,916m)、1961年の見直し(10,913m±5m)と数字が動くため、それぞれを分けて書きます。チャレンジャー海淵がどの国の水域にあるかは、米国内務省とミクロネシア連邦ヤップ州政府の説明を、だれの説明かを示して書き添えるにとどめます。写真、米海軍などの記章やマーク、国旗は使わず、機体・海底・地図はすべて自分で描いた模式です。人の姿はシルエットだけで、顔は描きません。
ナレーションなし・テロップのみ。1場面13〜16秒、全11場面で約2分40秒の試作版です。切替で「1960年 トリエステ号」と「いま(2012年以降の潜航)」を選ぶと、一部の場面のテロップと機体が変わります。2・3・5・7の場面はいつも1960年、9の場面はいつも「いま」で見せます。8はグラフ、10は地図の場面です。
1960年 トリエステ号
米海軍「プロジェクト・ネクトン」· 米海軍の資料による
- 乗員は2人(ドン・ウォルシュ大尉、ジャック・ピカール)確か
- 浮きに約8万3,000リットルのガソリン、おもりは鉄の粒確か
- 下り4時間47分、海底に約20分、上り3時間15分確か
- 深さ計は約11,521m、発表は約10,916m確か
- 途中で窓にひび。着底すると泥の雲確か
- 「平たい魚」の報告は、のちに疑問視されている確か
- 浮きの中の仕切り・海底の景色想像
いま(2012年以降の潜航)
ギネス世界記録・論文・各機関の発表による
- 2012年 ディープシー・チャレンジャー(キャメロン、一人)10,908m確か
- 2019年〜 リミティング・ファクター(ヴェスコヴォ)10,925m、2020年の潜航の解析で10,934m確か
- 2020年 奮闘者(中国、3人)10,909m確か
- 先に1995年3月24日、無人の「かいこう」が10,911.4m確か
- いちばん深い所は10,935m±6m(2021年の論文)確か
- 深海底の採掘の規則の案を国際海底機構が審議中計画(公表済み)
- 機体の形と色想像
深い海を包むルール:国連海洋法条約
- 1982年12月10日に署名開放、1994年11月16日に発効確か
- 岸から200海里までは排他的経済水域。沿岸国が資源について主権的権利をもつ確か
- 国の管轄の外の海底は「深海底」。人類の共同の財産で、国際海底機構が管理する確か
- チャレンジャー海淵は、米国内務省やヤップ州政府がミクロネシア連邦の水域の中と説明している。条約の定義にあてはめると、「深海底」ではなく沿岸国の大陸棚にあたる確か
- 米国とミクロネシア連邦は2014年、グアムとの間の境界の条約に署名し、2019年に発効。米国は海洋法条約の締約国ではない確か
- 2026年1月17日、国の管轄の外の海の生物多様性を守るBBNJ協定が発効確か
ツアーでは同じカメラ位置のまま、この2つを切り替えて見比べられます。1960年の側ではトリエステ号と支援の船、いまの側ではディープシー・チャレンジャーやリミティング・ファクターを見せます。
2026-10-23
事実の見直し:表の56項目とテロップ68行を、米海軍歴史遺産司令部のH-Gram・展示、海軍研究局、NOAA、Gardner 2014、Greenaway 2021、JAMSTEC、国連海洋法課、国際海底機構、スミソニアン協会、ギネス世界記録などで確かめ直した。直したのは次のとおり。窓のひびは「約9,000mを過ぎたころ」から「約9,900m(3万2,400フィート)」に(H-Gramと博物館の企画展の値)。1960年の深さの見直しは「10,911〜10,913m」から「1961年3月10日の通知で10,913m±5m」に(10,911mは米海軍の発表の表記の一つで、見直しではない)。下りの平均の速さを毎秒約0.9mから約0.6mに(計算の誤り)。リミティング・ファクターの10,934mは2019年の再解析ではなく2020年6月の潜航のデータの解析と直した。かいこうの到達日を1995年3月24日とした(ギネス世界記録。JAMSTECの年表では1994年度)。おもりの鉄の粒と電磁石の出典を、ウィキペディアからブリタニカと米海軍の技術報告に替え、1つの容器に「約9トン」を報告の「8トン、あわせて16トン」に直した。クルップ製の球に替えた「1958年12月」と「1966年に退役」は一次資料で確かめられないので外し、博物館の解説どおり「スレッシャー号の捜索のあと退役」とした。キャメロンの日付・下りの時間は、ナショナル ジオグラフィックの報道を出典にした。境界の条約は国連条約集で2019年9月27日の発効を確かめて書き足した。テロップの「その外の海底は深海底」は、200海里の外にも大陸棚が延びる場合があるため「国の管轄の外の海底は深海底」に直した。水域の説明は、だれの説明かを主語に置き、「深海底に入らない」は条約の定義をあてはめた結果と書き分けた。ツアーのテロップ・グラフ・地図の文字も同じに直した。
2026-10-23
試作:3DCGのツアーを作成(ガイド/自由に歩く、「1960年 トリエステ号」と「いま(2012年以降の潜航)」の切替、4種類の印の表示、出典、録画モード、演出の深さ計)。機体・海底・グラフ・地図はすべて自分で描いた模式。人はシルエットだけ、記章やマーク、国旗は描かない。
2026-10-23
台本:全11場面。テロップの各行に印を付けた。「平たい魚」は報告と疑問の両方を事実として書き、姿は点線の輪郭(想像)にとどめた。
2026-10-23
調査:米海軍歴史遺産司令部(H-Gram・美術展示・博物館の企画展)、海軍研究局、NOAA(海洋局・海洋探査・水産局)、スミソニアン協会、JAMSTEC、ギネス世界記録、中国の報道、国連海洋法課(条約の概要・条文・締約国)、国際海底機構、米国上院の条約報告、米国内務省、ヤップ州政府、論文(Gardner 2014、Greenaway 2021、Jamieson & Yancey 2012)を確認。依頼メモの深さ「10,900〜10,916m」は、深さ計の表示・発表・見直しの3つに分けて書いた。座標「北緯11.35度・東経142.20度」は西の窪みの最深点(Gardner 2014)に近いので、北緯11.33度・東経142.20度とし、東の窪み(東経142.59度)とは別だと書き添えた。窓のひびの深さは資料で3万〜3万2,400フィートと幅があるので「約9,000mを過ぎたころ」とした。
2026-10-23
企画の芯:共有地の層・南極・深海・宇宙の部屋の深海の作品。切替は「1960年 トリエステ号」と「いま(2012年以降の潜航)」。チャレンジャー海淵は国の水域の中にあり、国の管轄の外の「深海底」とは別であることを、どちらの側にも立たずに示す。