時空ツアー 43 · 物語と仮想の層 · 物語の部屋 · 事実の表
ダンテの地獄 事実の表
ダンテ『神曲』地獄篇に書かれた地獄のつくりを、建物と地形だけで形にするツアーの調査台帳です。物語の中のことと、本や研究など現実のことを分けて印と出典を付け、ルネサンスの人たちが地獄の大きさを計算した話も並べました。日本語はすべて、イタリア語原文とパブリックドメインの英訳をもとにした言い換えです。
層 物語と仮想の層部屋 物語の部屋本文 『神曲』地獄篇 全34歌(一部『煉獄篇』)年表の目安 1308〜1321年ごろ(執筆・説)/物語の時は1300年(解釈)作者の町 フィレンツェ 43.77, 11.25原文の置き場所 エルサレムの地下(解釈)更新 2026-10-23
はじめに:『神曲』は宗教を背景にした文学作品です。このツアーは文学と思想の歴史として、地獄篇に書かれた建物・川・氷・壁・橋のつくりだけを形にします。罰や苦しみの場面、人の姿は描きません。実在の人物も名前で登場しますが、ここでは挙げません。
物語の中のことを示す印
- 原文にそう書いてある
- 地獄篇(一部は煉獄篇)の本文に書かれていること。物語として書かれている、という意味です。
- 解釈
- 本文から組み立てた読みや、後の人の計算・読み解きなど、見方が分かれるもの。
- 描かれていない
- 本文に書かれていないもの。画面ではこの部分を想像の模式として示します。
現実の世界のことを示す印
- 確か
- 本の成り立ち、出版物、ガリレオの講義の本文など、資料で確かめられること。
- 説・推定
- 書かれた年、昔の単位の換算、研究者の見方など。
- わかっていない
- 手がかりがなく、答えが出ていないもの。
本文の箇所は「歌」と「行」で示しました(行番号は版によって少しずれることがあります)。イタリア語原文で確かめ、ロングフェロー英訳(1867年)で照らし合わせています。日本語はどれも短く言い換えたもので、現代の日本語訳(平川祐弘訳、寿岳文章訳など)からの引き写しではありません。ガリレオの数字は講義の本文によります。マイルは当時のイタリアの単位で、今のマイルとは長さが違うため、換算せずにそのまま示しました。1ブラッチョ約58cmは目安です。
ナレーションなし・テロップのみ。1場面13〜16秒、全11場面で約2分40秒の試作版です。切替で「原文の記述」と「ガリレオの計測(1588年)」を選ぶと、場面によってテロップも変わります。
原文の記述
地獄篇の本文にあること
- 円い圏が9つ、下へ行くほど狭くなる原文にそう書いてある
- 川はアケロン、ステュクス、フレゲトン、底は氷のコキュートス原文にそう書いてある
- 第8の圏に10の濠と、それを渡る岩の橋原文にそう書いてある
- 寸法は第9の濠22マイル、第10の濠11マイルなど、ごくわずか原文にそう書いてある
- 中心は、あらゆる重さが引き寄せられる一点原文にそう書いてある
- 地獄全体の深さ、幅、段の高さ描かれていない
- 全体をじょうご形とする姿解釈
ガリレオの計測(1588年)
マネッティの読みを、ガリレオが講義で数字にした
- 地球の中心を頂点、エルサレムを軸とする円錐。頂点の角度は60度解釈
- 深さは地球の半径、約3245マイル確か
- 天井の厚さとリンボまでの深さは、半径の8分の1(約405マイル)確か
- 空洞は地球全体の14分の1より少し小さい確か
- マレボルジェは中心から約81マイル。第1の濠は直径35マイル確か
- 巨人44ブラッチョ、ルチフェロ約2000ブラッチョ確か
マネッティとガリレオの地獄(地球の断面の模式)
「確か」の印は、ガリレオが講義でそう述べたことが確かめられる、という意味です。数字がダンテの考えた地獄の大きさだという意味ではありません。段の弧は半径の8分の1ごと、円錐の角度は比どおりに描きました。煉獄の山の大きさとヴェルテッロの地獄の形は模式です。
ツアーでは同じ場面のまま2つの見せ方を切り替えられます。「原文の記述」側の段の高さや幅は本文にないため、模式で描いています。ドレの版画、映画・ゲームの絵柄は使っていません。
ダンテの本文とロングフェロー英訳はパブリックドメインです。現代の日本語訳は著作権のある訳文のため、引用していません。ガリレオの講義は16世紀の本文です。
2026-10-23
見直し:事実の表63行とテロップ76行を、イタリア語原文、ロングフェロー英訳、ガリレオの講義の本文、ガリレオ博物館の解説、ピーターソンの論文、ブリタニカで照らし合わせ、5行とテロップ3行、画面の札2つを直した。濠の寸法は、講義の本文が述べる「幅1マイルと4分の3、第1の濠は直径35マイル」に改め、「マネッティの読み:11マイルずつ長くなる」をやめた。講義の年は1587年とする資料もあると書き添え、出典のない「依頼は1587年」と「24歳」を改めた。1506年の『対話』の版にベニヴィエーニの名を加え、川を越える場面の行を4歌9行までとした。ヴェルテッロの地獄の深さは、ガリレオ博物館の展示では295マイル、講義の本文では合計280マイルの計算で、食い違うため数字は載せていない。罰や苦しみ、人の姿、地獄にいる実在の人物の名、現代の日本語訳の引用がないことも確かめた。
2026-10-23
試作:3DCGのツアーを作成(ガイド/自由に歩く、「原文の記述」と「ガリレオの計測(1588年)」の切替、6種類の印の表示、出典、録画モード)。原文側は寸法のない模式の段、ガリレオ側は地球の断面に60度の円錐を比どおりに置いた。ルチフェロは暗い形の模式だけにし、人の姿は描かないことにした。
2026-10-23
台本:全11場面。暗い森から煉獄の山まで降りて登る順に並べ、最後の場面でマネッティ、ヴェルテッロ、ガリレオ、のちの研究をまとめた。
2026-10-23
調査:イタリア語原文とロングフェロー英訳、ガリレオの講義の本文、ガリレオ博物館の解説、ピーターソンの論文、百科事典を確認し、事実の表を作成。
2026-10-23
企画の芯:物語と仮想の層・物語の部屋の作品。宗教を背景にした文学として敬意をもって扱い、罰や苦しみは描かず、建物と地形だけを形にする。実在の人物は挙げない。現代の日本語訳は引用せず、すべて自分の言葉で言い換えると決めた。